佐川地質館

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寒菊と菊花石

寒菊と菊花石

菊花石

菊花石

2月は、暦の上では春を迎えながら、まだ冬の冷たさが残る不思議な季節です。このはざまの時季にふと心に浮かぶのが、一瞬を生きる寒菊と、永遠を宿した菊花石です。

 霜の降りるころ、庭の片すみにひっそりと咲く寒菊は、朝夕の冷気に震えながらも、短い時間を精いっぱい照らす小さな灯のようです。新年の決意が早くも揺らぎはじめる 2 月に、「今この瞬間に咲けばいい」とそっと背中を押してくれる花でもあります。

 一方、昨年当館に寄贈され、新たに展示室に加わった菊花石は、1億年以上前、地下深くで鉱物が高温高圧の環境のもとゆっくり成長して生まれました。石の表面にあらわれる結晶の模様は、まるで菊の花が石の中で静かに咲き続けているかのようです。その気の遠くなるような時間を思うと、私たちの一年の迷いや焦りは、ほんの一瞬のきらめきにも思えます。

 一瞬の寒菊と、永遠の菊花石。その対照的な二つの「花」を思いながら、冬と春のあいだをたゆたう 2 月の午後、どうぞ地質館の展示室をのぞいてみてください。まだ冷たい空気の中で過ごすひとときが、あなたの新しい一年に、静かな余韻を残してくれるかもしれません。

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