佐川地質館

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歴史の交差点・横倉山

歴史の交差点・横倉山

横倉山

横倉山

以前このエッセイで、黒瀬川帯の岩石の上に築かれた高知城を、歴史の交差点として紹介しました。そして、その交差点はもっと身近にもあります。横倉山です。横倉山もまた黒瀬川帯の一部で、四億年を超える深成岩や変成岩、

古生代の地層がモザイクのように集まり、激しいプレート運動の記憶をいまに宿しています。ここにある岩石のひとつひとつが、遠い海や大陸の縁、地殻の深みに生まれた記憶を、ひそやかに語りかけてきます。しかし、横倉山の魅力は、地質にとどまりません。山中には横倉宮や修験道の跡が息づき、古くから信仰の山として人々と結ばれてきました。牧野富太郎博士が植物を求めて踏みしめた道、いま私たちが地質を学び歩く道は、かつて祈りと修行の足音を受けとめた道でもあります。

横倉山は、黒瀬川帯という地質の要と、人の営みが出会う場所。岩石は黙していますが、その沈黙には、地球と人の時間が静かに折り重なっています。その気配にふと気づくとき、山は単なる調査地ではなく、遠い記憶をたたえた語り部として、こちらへ近づいてくるように思えるのです。

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