長崎といえば、江戸時代に西洋との交易の窓口となった出島や、隠れて宗教弾圧に耐えた潜伏キリシタンの遺産など、西洋と日本との交流の歴史 で有名ですが、実は化石もよく見つかる土地です。
長崎市の北にある西海 市には、今から約3300万年前の地層が広がっています。この地層から、 太平洋最古となるカイギュウの化石が発見されたことが、去年の 3 月に報道されました。カイギュウは、今生きている動物ではジュゴンやマナティの仲間で、 今のアフリカや地中海辺りで5600万年前に生まれたと考えられています。また、同じ地層からは「ペンギンモドキ」と呼ばれる、ペンギンにそっくりな姿をした鵜の仲間の化石も見つかっています。こちらは北アメリカの太平洋岸で 3400万年前の少し前辺りに誕生したのではないかと考えられています。日本が西洋に出会った土地・長崎は、 はるかな昔も西からやってきたカイギュウと東からやってきたペンギンモドキが出会う場所であったようです。 佐川地質館では、西海市のご協力でこのカイギュウとペンギンモドキの化石をお借りし、夏の特別展「長崎県 東西の海から来た動物たち」で公開します。長崎の太古の東西交流のロマンに思いを馳せてください。