12 月は、土が霜に覆われ、木々が葉を落とし、自然が静まり返る季節です。この時期、私たちは時間の中で積み重ねてきたものに思いを馳せます。地質館で働いていると、地層や年輪が、そうした積み重ねの象徴に思えてきます。佐川町には何億年もかけて積み重なった地層が並んでいますが、地質館で展示されている 4000 万年前のセコイアの化石にも、年輪がはっきりと残っています。この年輪には、失われた太古の森林が広がっていた記録が刻まれています。その時代、この木も何百年と生き抜き、ゆっくり幹を太くしていきました。こうした植物化石に残る年輪は、私たちに二重の意味で悠久の時間の重みを感じさせてくれます。
12 月は、こうした自然の「層」を感じ直す時期です。佐川の地層もセコイアの化石の年輪も、目の前の自然が語る「時間の重み」を思い出させてくれます。年末の静かな時間の中で、積み重ねていくことの大切さをかみしめながら、新しい年への一歩を踏み出していけたらと思います。