佐川地質館

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ブログ「黒瀬川帯を包む蛇紋岩」

蛇紋岩

蛇紋岩

令和七年は巳年です。ヘビは脱皮を繰り返すことから「復活」や「再生」の象徴とされてきました。この縁起の良い年に、地質館では黒瀬川帯をテーマにした特別展を開催しています。この黒瀬川帯には、「ヘビ」の名をもつ不思議な岩石 ― 蛇紋岩 ― が深く関わっています。

 

蛇紋岩は、かんらん岩や輝石岩といったマントル起源の岩石が、水と反応して変化した軽めの岩石です。その模様がまるで蛇のうろこのように見えることから、この名前がつけられました。海洋プレートの沈み込みなどによって深く沈んだマントルの岩石が、地中深くで化学変化を受け、そしてその軽さゆえ、ゆっくりと地表近くへと上昇しました。蛇紋岩が深部から地表へ浮かび上がってくるその過程は、まさに「よみがえり」の物語です。

 

そして黒瀬川帯は、この蛇紋岩に包み込まれるように分布しています。一説では、蛇紋岩が上昇する際、周囲の岩石を巻き込みながら押し上げ、それが黒瀬川帯の形成につながったと考えられています。

 

復活と再生の年、巳年。地球の奥深くから生まれ変わった蛇紋岩に思いを馳せながら、地質館の黒瀬川帯の特別展をぜひご覧になってください

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