佐川地質館

新着情報

お知らせ

ブログ「身近な昆虫、身近な化石」

身近な昆虫、身近な化石

展示風景

展示風景

 夏の風物詩といえば、子どもたちの昆虫採集。佐川の山のあちこちに目を向けると、カブトムシやセミ、バッタなど、さまざまな昆虫が身近な自然に息づいていることに気づきます。これらの昆虫は、「節足動物」と呼ばれるグループに属し、体が節に分かれ、たくさんの足を持つのが特徴です。

 実は、同じ節足動物の仲間が、石の中にも眠っています。隣町にある横倉山は、日本で最も多くの三葉虫の化石が見つかっている場所のひとつです。この横倉山も、以前から当エッセイでご紹介している黒瀬川帯の一部なのですが、現在、地質館で開催している黒瀬川帯の特別展でも、横倉山の三葉虫の化石を紹介しています。展示されている三葉虫の中には、「完模式標本」と呼ばれるものもいくつかあります。これは、新しい種として科学的に名前をつけるときの “基準” となる、とても重要な標本のことです。まさに現在展示中の化石をもとに、三葉虫の一種が世界に認められたのです。

身近な虫たちを追いかける夏の日の体験が、数億年前の生き物との思わぬつながりを教えてくれるかもしれません。昆虫と違い三葉虫は簡単には採集できませんが、この夏は、昆虫と化石という「節足動物の今と昔」にふれて、自然と地球の歴史に思いをはせてみてはいかがでしょうか。

ページトップ